2009年04月04日
桜雲上にそびえる蜃気楼
河川・水辺の景観

芥川ぞいの新川堤はサクラの名所として知られていますが、ここで花見されたことがありますか? それはそれは見事ですよ!
たなびく「花の堤」があまりにも見事なので花見客はついついそればかりに気を奪われて、あるいは連れ人と雑談をかわすのにうち興じ、あるいは花より団子と酒食を楽しむために、このすばらしい景色の《真髄》を見抜くことがまれなようです。
むかしアメリカのペリー提督がとつじょ黒船艦隊を率いて浦賀にやって来ました。ご存知ですね。白い煙をもうもうとはく黒蒸気船など当時の人たちには見たことも聞いたこともないほど巨大で怪奇な船だったので、政治家から庶民に至るまで人々は、ただただ驚愕しておろおろするばかり。
そんな最中に宮内君浦という漢詩人は「黒船艦隊」を海上に立ちのぼる「蜃気楼」に見立て特異な時事詩を作りました。「黒船艦隊」を「蜃気楼」に見立てるとは、平凡に見えてなかなか非凡な着想です。
さて、新川の「花の堤」、それはまた「桜雲(おううん)」とでも称すべきめでたい景色です。その「桜雲」の上の方を見すえると―――すくっと立っているのは?
言わずと知れた市役所庁舎とJR高槻駅前のツインタワー。これぞ当地現代の「蜃気楼」!
「桜雲」と「蜃気楼」のコンビネーション、この妙景こそ新川堤の春景色の《真髄》ではないでしょうか!
薄くれないの海原、そこに立ちのぼる現代建築の蜃気楼、わたしはこの春景色をそのようにも見て、毎年「花の堤」の実像と虚像の両面を大いに楽しんでいます。今年もまた!
重楼 翠阜 霜暁に出(い)で
異事 百歳の翁を驚倒せしむ (蘇東坡「海市(しんきろう)」詩)
「重楼」とは高層の庁舎とツインタワー、「翠阜」とはその背景に見える北摂の色こい翠の山並み。時節こそ異なっているものの、この「しんきろう」の詩もさながら新川堤の斬新な景色を詠んでいるかのように思えます。
撮 影 日 2008年4月4日
撮影 場所 南庄所町(芥川堤)(地図)
投 稿 者 小松康男
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Posted by 高槻市
at 08:28
│Comments(8)
この記事へのトラックバック
桜で賑わっている「新川桜堤」とは対照的な、新川桜堤の西側にある「津之江公園」です。
以前は子供達が野球を楽しんでいた「津之江公園」ですが、自然再生計画 で新しくなりました...
得した気分です (^^♪【kikoがスタート】at 2009年04月08日 12:59
この記事へのコメント
投稿者:中川
名文、お見事です。さくらの楽しみ方が広がりました。ありがとうございます。
2009年04月04日 09:34
投稿者:藍
同じく、お見事と思いました!桜の下で楽しくすごすのも、年に一度の楽しみですけど
本当に、桜色の雲
そびえる庁舎、ツインタワー。
いつもバスから見るだけですが、まだ間に合う。
行ってみたいです。
2009年04月04日 15:24
投稿者:せいろう
小松さんの写真と文には毎回感動しています。「桜雲」なんていう素敵な言葉があるんですねぇ。知りませんでした。
新川の桜はまだ若いので、年々「桜雲」が豊かになることでしょうね。
2009年04月04日 18:31
投稿者:中川
明日は攝津峡の桜祭りに行って原に回って蛇祭りを見にいきます。
2009年04月04日 22:02
投稿者:佐藤純一
いつもながらの小松さんの「名文」と「写真」回り道をしてでも「そこ」を通る楽しみを教えてくれます。
次の写真も期待しています。
2009年04月04日 22:57
2009年04月05日 13:40
投稿者:Sera
本当にきれいです!今年は新川→玉川の里とお花見のはしごをしたいです。
2009年04月05日 20:20
投稿者:junko
こまつさん、ここはひょっとして、電車からも見えますか。私も毎朝、眺めてはきれいだな~とうれしくなります。
植物は強いですね。
2009年04月07日 16:10
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